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「んくっ、ちゅっ、ちゅ」
満月が地を照らす光景は、時が流れても生き物に何かしらの現象を引き起こさせる。
「んふっ、今日は積極的よ・・・サム」
「ん、はい。司令」
「司令ではなく、シェルでしょ」
シェルと名乗る女性は、サムという男性をベッドに押し倒してキスをしていた。しかし、暫くするとサムは攻めるかのように舌をシェルの口内へ侵入させる。
「んんっ、んはっ。止めなさい」
シェルの険しい表情を見て今の行為を中断するサム。
「怪しい、いつものサムじゃない」
「シェル?」
「・・・確認するわ」
「待って、シェル!シェえええ!!あああ!」
サムはベッドで暴れ狂う。口から血を流し、腹部を両手で必死に押さえる。
「一時間、そのままでいなさい。生きてたら、・・・続きをしてあげる」
そう言って、シェルは満月に照らされた部屋を出る。サムは涙を流しながら痛みをこらえようと我慢する。吐血で咳き込み、左手で口を押さえようとすると、金色に輝くモノに気がついた。
今、サムが唯一持っている宝物。結婚指輪
アイナとの夫婦の証
「アイナ・・・ゲボッ!ゲホ!」
サムはシェルが来るまで、苦痛に歯をくいしばりながら指輪を眺めていた。
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