アイドル、居座る

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   高飛車系アイドル。  意味は文字通り、高慢ちきいを押していて、Mな方や草食系男子を中心に流行っている……いわばSな女の人、ってことらしい。  最近東京でメジャーデビューしたらしい彼女だが、ここは片田舎である。東京ではない。  何故、その高飛車系アイドルがこんなところに? 「な、なにか返事をしてく……しろよ! いや……してくれてもいいのよ!?」  考え込んでたせいか、鈴香さんが少し怒り気味である。  しかし、さっきからなにかとドモりすぎじゃないか? 「ちょっと鈴香、落ち着いて。平常心平常心」 「あ、うん、大丈夫だよ私冷静だから同年代の男の子と話すのが初めてとかそんなのじゃないから」 「……」  ……高飛車?   「鈴香さん……でいいんだよね?」 「あ、そうだよ……いや違うそうよ! なにか文句でも!?」  文句……? いやないけどさ。  ……疑問に思ってても仕方ない、ということでとりあえず無難に挨拶をしてみることにする。 「おはようございます」 「あ、おはよー……おはよう!? なに気安く私に話しかけてるのかしら!」 「今日もいい天気ですね」 「ん、そ、そうね。私は雨のほうが好きだな……なのだけれど」 「そうなんですかー、ところでどうしてそんなにどもるんですか?」 「え!?」  その場で狼狽しだす鈴香さん。  これは……面白いぞ。  
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