プロローグ

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   玄関を開けたら、人が居た。  いや、目の前に人が立ってるとかではなくて、一人暮らしの筈の自分家に靴が二足ほど増えていたわけでして。  玄関を上がって真直ぐの所にある、リビングに通じているドアの奥から、聞いたことがあるような綺麗な女の子の声が聞こえてくるわけでして。  俺は桜田高校指定の制服――具体的に言うとブレザーの内ポケットに手を突っ込み、中に入っている携帯電話を取り出した。 「一、一、○……っと」  耳から携帯電話の定番と言われる音が流れ始める。  プルルルル、プルルルル―― 『はい、こちら警察庁です』 「ああ、もしもし? すいませんがパトカーを一台用意して戴きたい」       ◇ 「俺はなにを間違えたんだ……」  耳から聞こえてくるのは向こう側から電話を切られた証拠と言える切断音。  警察に妄想はよくないって言われた。見捨てられたよ、人民の味方に。 『家の奥から女の子の声が聞こえる』  この中に間違った情報があったのか? あら不思議。俺には全くわからない。有りのままを語った筈なのに……っ!  
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