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彩ちゃんはやっぱり鋭いな~ 中学時代からわたしに何かあると いつも彩ちゃんに詮索されていた
彩ちゃんにはどうしても隠し事は出来ないみたいだ
わたしは 彩ちゃんにだけ聞こえるぐらいの声で 今朝の出来事を説明した
その際 彩ちゃんはしきりに頷きながら聞いてくれた
「奈木 そのアンブレラボーイ は絶対に下心全開の変態カス野郎だから 近づかない方が良いよ」
何だか彩ちゃんの言葉に無性に腹がたってしまった
「そんな事無いよ~」
わたしは彩ちゃんに必死に反論するのだけど 鼻で笑われてしまった
「怒らないで 怒らないで じゃあさ 後でそのアンブレラ井上に会いに行くんだね?」
「そうだよ まだ ちゃんとお礼も言えてないから」
わたしが彼女の問いかけに答えた時 ちょうど 教室にはチャイムが響き渡り 担任の先生が入ってきた
「じゃあファイト 奈木」
彩ちゃんはわたしに励ましの言葉と弾ける笑顔を向けて自分の席の方へ戻って行った
ありがとね 彩ちゃん
まずは 一人一人自己紹介をする時間だったのだけど わたしの頭の中には井上圭介君の事でいっぱいであった
いきなり教室に会いに行ったら迷惑かな~?
わたしの事なんて もう忘れちゃったかな~?
そんな事を考えているうちに もうわたしの番がきていたみたいで わたしは急いで立ち上がり 口を広げる
「和田 奈木と言います
みんなと楽しく1年間過ごしたいと思っているので仲良くして下さい よろしくお願いします」
わたしは そんな在り来たりな挨拶をして席に座る
クラスのみんなからは 多くの拍手と共に
「よろしくー!!」
との 声をかけて貰えたので良かったのかなと思います
クラスの中が賑やかな空気に包まれるなか 授業の終わりを告げるチャイムが教室に響き渡った
わたしはチャイムを聞いたと同時に彼の傘を手に持ち5組から出る
そして 2組に向けて歩き出した
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