~厄介な友人 厄介な担任~

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ベッドで眠る彼の様子をうかがう 彼は汗を流しながら 苦しそうに息をしている 「ゴメン美香 俺が悪いんだ ゴメン ゴメン ゴメン」 そしたら急に彼が 悲痛な声をだしながら 誰かに謝りだした 閉じている瞳からは うっすらと涙が流れ落ちていた 「大丈夫だよ 大丈夫だよ」 わたしはどうしたら良いか分からずに彼を励ます事しか出来なかった 「なっちゃん 圭介の心は真っ暗なんだよ コイツはね………もう願っても叶わない願いをずっと持ち続けているんだよ………」 田中君は苦しげに謝り続ける井上君に視線を向けながらわたしに伝えてきた なんでだろう 心が痛い…… 井上君のつらそうな姿を見ているだけで心が壊れそうになってしまう 「わたしは 井上君のために何か出来ないのかな?」 わたしは懇願するように 田中君に聞く 田中君は真剣な表情をわたしに向けながらわたしに言う 「中途半端な気持ちで圭介と仲良くしようと思っているんだったら それは圭介を傷つけるだけだと思うんだ だからなっちゃんがそんな風に思っているんだったら圭介にはあまり近づかないでくれ」 田中君の言葉はわたしの胸に突き刺さった 井上君はいったい……… わたしは井上君の事を田中君から聞きそうになったが その気持ちを止めた これだけは 井上君から直接聞かなければならないと思ったから 中途半端な気持ちじゃない 井上君の事をもっともっと知りたいと心の底から思うから 「わたしは真剣に彼と接したい」 わたしは真剣な表情で田中君に話す その言葉を聞いた 田中君は表情を崩して わたしに笑顔を向けて 「もしかしてなっちゃんは圭介に惚れちゃったのかな?」 と わたしを茶化してきた 彼の言葉に少しだけ心臓が跳ねたのが分かった もしかして わたし………… 「違うよー」 わたしは 自分の気持ちに少しの疑問を感じつつも笑顔で田中君に返事をした …………………………… ,
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