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「あの~ 何で俺の名前を知ってるの? もしかして修斗に聞いた?」
彼女は首を左右に振りながら答える
「傘に名前が書いてあって クラス分けの紙を見た時に2組のところに同じ名前が書いてあって もしかしてと思って……」
そうだった 傘に名前を書いてたんだった 今思うと傘に名前って………結構恥ずかしいな
「あ~そうだったんだね
俺の事は別に好きに呼んでもらって良いよ」
そのように俺が言うと 和田さんは本当に嬉しそうな 心からの笑顔を浮かべた
…………俺もこんな笑顔をもう一度したいな…………
俺は叶いもしない願いを心で願う
「圭介君 もうひとつだけお願いしても大丈夫?」
圭介君って呼ばれるのって恥ずかしいな なんか恋人みたいな感じだし
俺は了承した事を激しく後悔した
もうひとつ願い? なんだかとてつもなく嫌な予感がする
俺は少しビビりつつも彼女に返事する
「良いけど 俺が出来る事にしてね」
彼女は俺の言葉に笑顔で頷いてくれた
良かった きっと彼女は俺が軽く耐えれるレベルの事を要求してくれる筈だ
「わたしの事を和田さんじゃなくて 奈木って呼んでくれませんか?」
…………………はい?………………名前を呼び捨てで呼べと?…………………和田さん 俺は全然耐えきる事ができませんよ
「え…………それはちょっと…………」
なんとか この要求だけは避けなければならない
そんな時に 天敵修斗が横から介入してきやがった
「圭介~ なっちゃんがお前を運んでくれた時 お前が重くて何度も倒れそうになっていたのに 拒否権がお前にあると思ってるの?」
修斗の にやつきがウザイ
和田さんの表情を確認してみると 目に少し涙を浮かべながら じっと俺を見つめていた
この状態はまさしく 四面楚歌 だろう
まわりには敵しかいない
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