~厄介な友人 厄介な担任~

15/16
前へ
/144ページ
次へ
「圭介君ってさ…………今ね 希望ってある?」 希望?俺は奈木のいきなりの発言に混乱した 「………………」 俺は彼女の問いかけに答える事ができない 答えるとしたら希望ってものはもう存在しないと答えるだろう もう 何を希望にすれば良いかが分からないのだから 俺が黙っていると彼女が俺の前に立ち 俺と目線を合わせながらゆっくりと語りかけてきた 彼女の目は優しさで溢れていた 「人はね、誰でも希望を持って生きてるものなんだよ」 彼女が俺に何を伝えたいのか分からない 俺は希望なんて………… 「俺には無いよ そんな希望なんて………」 俺は自分の気持ちを意味もなく 彼女にぶつけるように言う 彼女は再び口を開く 「圭介君も持っている筈だよ………圭介君だけの希望を」 俺にも希望がある? 彼女の瞳は真っ直ぐに俺を捉えてきた なんだかその視線が怖くなった 真剣に俺に訴えかけるその視線が……… 俺は彼女の目を見ているだけで 涙がこぼれそうになった なんだか 崩れてしまいそうになったんだ…………俺の美香への決意が 俺は彼女から逃げるように 「俺の家こっちだから 今日は本当にありがとう じゃあまた明日」 と言って走りだす 奈木の返事も聞かずに 走りだしてからも頭の中に残るのは彼女の真剣な瞳であった なんで こんなにも心が揺らいでしまうんだ? なんで こんなにも心が痛いんだ? 「クソー」 俺の叫び声が夜の住宅街に響き渡った ,
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

503人が本棚に入れています
本棚に追加