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「え~ 何で?」
奈木は不満げな表情をしながら尋ねてきた
何でって言われても嫌なものは嫌だからなぁ 理由なんて無いな
「奈木 お前は何で俺とそんなに関わりたいんだ?
ただ俺は傘を貸してやっただけだぞ」
よく考えてみたら ごく自然に仲良くなってるけど おかしな事だらけだぞ
「う~ん よく分からないんだけど
なんだか圭介君と離れたくないんだ それにもう友達なんだから 一緒に居て当たり前でしょ?」
うん 意味が全く分かりませんね
俺はどちらかと言うと1人が好きだ 誰かと一緒に居ると自分が弱くなってしまうと思うから
「意味が分からないよ
俺は1人が良いんだ なんて言ったって 一匹オオカミの圭介君と近所では有名なんだからな」
「………1人……か……」
なんだか 奈木がつぶやいたようだがよく聞こえなかった
「何か言った?」
俺はその事を奈木に尋ねた
振り向いて確認した彼女の表情はいつもの輝いた笑顔ではなく なんだか悲しそうな表情であった
俺はその表情を見て 胸が苦しくなった
彼女には笑顔で居てほしいと何故だか強く思った
しかし 俺の視線を感じとったのか表情を一変させて満面の笑みで
「なんにも言ってないよ
そんな事よりわたしとのデートは拒否権はありませんよ~」
と答えた
俺は先程の彼女の表情に隠された大きな決意をこの時は知らなかった
俺の事について本当に真剣に悩んでくれた人の決意を……………
拒否権無しですか?
人権は? 自由の権利は? なんと恐ろしい女なんだコイツは
「嫌なんだけ
「駄目!!」
遮られました
俺は溜め息を吐き 返事をする
「わかったよ わかりましたよ あなたとデートいたしましょう
でも俺 バイトやっていて休みの日にシフトが入ってるかもしれないぞ?」
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