~雨がもたらした君との出会い~

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「ねえ圭ちゃん」 俺の目には嬉しそうな笑顔を俺に向けてくる、可愛い女の子の姿が映し出されていた。 彼女の笑顔に吊られて俺も笑顔で彼女に返事をする 「何?」 俺の問いかけに彼女は満面の笑顔を向けながら俺に言い放つ 「なんで圭ちゃんは、私を守ってくれなかったの?」 俺には忘れられぬ過去がある…… 「え?」 「圭ちゃんのせいで私 死んじゃったよ?」 いや、絶対に忘れてはならない過去がある……… 「美香 やめてくれ」 彼女は笑みを浮かべながら、徐々に闇に吸い込まれていく。 俺は彼女の言葉に心がズキズキと痛み、自然と涙が頬を伝っていた そうだ 俺があの時……俺のせいで コイツが…… ずっと俺に笑いかけてくれたコイツが…… 俺は幸せを望んではいけない存在なんだ。 美香を思い続ける事が、俺の生きている唯一の理由なのかもしれないな。 「ゴメンな 本当にゴメンな……美香……」 俺は、今は存在しない彼女に謝り続ける。 「許さないよ」 彼女は俺にそう言うと完全に闇に吸い込まれた。 「くっ……うっ、うぅうあぁあ」 いつになったら涙は枯れ果ててくれるのか…… 俺はガムシャラに泣き続けた。 そしていつの間にか、真っ暗な世界へと落ちて行った ……………………… 「ハア ハア ハア」 俺はベッドから体を起こす 体からは汗が伝い 目からは涙が伝い そして体全体は震えて上手く動かせない 辺りを見渡すと未だに光は無く まだ夜明け前と言う事が分かった 「……美香……美香……美香……」 俺は膝に顔を埋めながらひたすら彼女の名前を呟き続ける 押し寄せるのは ただただ自分への苛立ちと後悔の念だけであった そしていつの間にか意識はなくなっていた ,
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