超新星、新藤現る

2/6
327人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「ついにやって来たぜ、北凰!」 オレの名前は乕田誠司(とらだせいじ) 今年北凰学園中学に入学した一年生だ 北凰はなんと言ってもサッカー部が強いという オレの夢はサッカー部のレギュラーになって全国で優勝することだ 自慢じゃないがオレの実力なら今からでも間違いなくレギュラーになれる自信がある オレはそんな希望を胸に北凰にやって来た しかし 「おい、何やってんだ、一年! しっかりボールを拾え!」 サッカー部に入ってみるとオレの希望は一気に崩れ落ちた ここではしっかりとした上下関係が成り立っていて、一年生は二、三年生の練習の手伝いに尽力するのが掟だった まともな練習を受けることはもちろん、レギュラーになることなんて一年のオレには無理なことだった 「くそう…… このままオレは一年を棒に降るのかよ……」 「一年、ボールいったぞ!」 「えっ?」 オレは考え事をして気をそらしていたため、ボールが飛んできたことに気がつかなかった だからボールはオレを越えて向こうの方へと飛んでいってしまった 「何やってんだ!」 「す、すみません!」 「早くボールを取ってこい!」 「は、はい!」 そんなとき、オレが取り損ねたボールに片足を乗せて立っている男がいた オレと同じ体操着を来ているから一年生だ それにしても不思議だ 今日は特に寒くもないのにそいつはジャージを上下に着ていた 「わりいな ボール取ってくれて」 「……?」 そいつは不思議そうな顔でオレを見ていた すると後ろから先輩の叫び声がした 「おい、そこの一年! そのボールこっちにかせ!」 そいつはまぶたを半分下ろした目で先輩を睨み付けた 「あぁ?」 その態度に激怒した先輩は激しく声を荒立てた 「聞こえてんのか、一年! そのボールをよこせって言ってんだよ!!!」 するとそいつは薄ら笑いを浮かべて喋りだした 「誰にものを言ってんだ そんなにほしければてめえで取りに来い、タコ」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!