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『おう、この台は昨日、八万発出てたよな!?
出る時は出るんだな』
ニヤッと笑って、常連客の兄ちゃんがやって来た。
身長174の俺より、5センチ程背が高く、体格もいい。
かといってデブじゃない。
多分、土建屋さんか何かだろうと勝手に思っている。
『俺が打てばもっと出るかもしれねーよなあ!?』
ドサッと角台の椅子に座り、サンドに千円札を入れながら、またニヤリとして俺を見る。
『なあ、出るよなあ!?』
いや、出るかもしれないけど、もう10時前だよ兄ちゃん?
こんな時間にパチンコを、しかもこんな荒い台に座るって事は、どうせスロットで負けて来たんだろ?
『いーのいーの!初打ちだからな、きっと出るさ』
この兄ちゃんは、四号機時代、沖スロ専門だった頃から知っている。
お花じゃなくてパトライトの方。
だから、パチンコもこのメーカーの♪キュイン♪が好きみたい。
店員が見ている時に、わざと二台打ち(の、ふり)をしたりする。
『負けた!コノヤロー!』
とか言いながら、男の店員のお尻を叩いて帰ったりするが、台を叩いているのは見た事がない。
『おい、箱の準備しとけよ!?』
はいはい。そうなる様に祈っとくよ。
感謝祭の前日って事もあって、お客さんは少ない。
まだ自分では打ってないこの新台を、兄ちゃんの相手をしながら観察するのも悪くないかな。
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