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私は今、ゲームセンターにいる。
もちろん電車に乗ってどこかに行くことはできる。
でも
私には行く所がない。
母寄りのおばぁちゃんとおじいちゃんは、私が中学に入ったときに死んでしまったから。
父寄りのジジィとババァの所へ行くのなら、死んだほうがマシだから。
だから駅の近くのゲームセンターでこれからのことを考えている。
言うならば、【独立作戦会議】だ。
大袈裟に言い過ぎている気もするが、偽って自分を下げるような言い方をするよりは大袈裟が好きだ。
私は店員に見つからないように大きな、でも大きすぎないゲーム機の機体の後ろに隠れて座った。
音楽が聞こえる。こーゆーのは悪くない。むしろ良い音楽だなと思う。機体から熱気が吹いてくるがこの寒い季節にはちょうど心地良い。
自由を感じて目を閉じるとそこには世界が見えた。
ふよふよっとゲームの機体やプリクラ機に隠れながらリクちゃんを追うと、私たちの世界の一部「ポップンミュージック」の台の後ろで―さすがリクちゃん!―心地良さそうに眠ってしまっていた。
「後はあの神様に任せよう」と思ったから、私はムム様の所に帰ることにした。
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