いんとろだくしょん

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  「……ん?」   「……ありぃ?」   リビングに戻った途端、とある“変化”に気づいて顔を見合わせる我々。       あのですね。スモーカーが二人いりゃあ、煙草の匂いって、そうそう消えないんです。   煙草そのものの匂いだけでなく、フィルターが焦げたときの匂いや揮発性のライター・オイル、切り口から零れた刻み葉等々、喫煙所特有の様々入り混じった匂いの粒子がね、暫くの間、空気中に漂うものなんですよね。 それが、全くないんです。   目の前のローテーブルには、吸い殻が何本も突っ込まれた灰皿が置かれてるってのに。   あれだけ狼煙上げてたのに、“お清め”して戻ったら、何故だか、部屋の中に煙草臭がないんですよ。   「……ここんチ、空気清浄機とかは」   「ねえよ、んなもん」   あるべき筈のモノがない。 なにも手を下していないのに、匂いが数分で消えてしまう、というのは納得しかねる。   でも、現実なわけで。事実、そうなんだから認めるしかないんだけれども……ヤですよね、なんとなく。   テーブルを前にしながら、ふたりとも腰を下ろさない。いや、下ろせない。  
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