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派手な音を立てて床へ落ちた赤西。
やべ、びっくりしすぎて突き飛ばしちゃった。
「あ、ご、ごめ……つかなにやってんだよ!!」
『ぁあっ!?なにが…ってあれ?』
そう言って首をかしげる赤西。
『なんで俺かめのベッドに?』
「……は?」
『いやなんか寝顔可愛いな─って見てたんだけど…まさか無意識にベッドの中入った?』
「はぁ──!?バカじゃねぇの!?そんな話聞いた事ねぇよ!俺が女だったら警察呼びだし!」
『ほんとごめんって!まぁでもいいじゃん?かめ男だし♪』
「そういう問題じゃね─!」
もうヤダ。
なにが嬉しくてこんな変態と…。
思わず眉間にしわが寄る。
『…ほんとごめんって。気を付けるからさ、そんな怒んなよ。』
え、なに急にシュンとしちゃって。
そんな怖い顔してたかな俺。
つかなんか叱られた犬みたい。
垂れた耳が見えるよ。
「…も─いいよ。別にそんな怒ってないし。」
そういうとパァッと明るくなった赤西の顔。
『そっか。ありがとっ!』
そう言って子どものような無邪気な笑顔で笑った。
─ドキッ─
あ、あれ?
なんでドキドキしてんの!?
『あれ?なんか顔赤いけどどうしたの?』
「な、なんでもないっ!」
そう言って急いで部屋を出る。
『どこ行くの!?』
「飯行って来るっ!」
『じゃあ俺も…』
─バタンッ─
言い終わる前に閉めたドア。
そうして急いでトイレに駆け込みずるずると座り込む。
どうしちゃったんだろオレ。
赤西相手に照れちゃったりしてさ。
これじゃまるで恋する乙女みた…
「……え?」
いやいやオレ今なんつった?
え、まさか冗談だろ。
さっきの自分の言葉を消したくて、今のもやもやした感情について考える。
考えて考えてもう頭ん中ぐるぐるしてきた時に出て来たたった一つの文字。
それはやっぱり、《恋》だった。
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