821人が本棚に入れています
本棚に追加
ここからその公園は遠くないけど、息を切らして必死で走った。
電話の様子からして、なにかあった事は分かる。
いつもの赤西じゃない。
どうしたんだろ…。
考えるだけで胸が締め付けられる。
「…っは…はぁっ…」
やっとの思いで着いた公園。
なのに赤西は見当たらない。
「…はっ…あ、赤西っ!」
公園中に自分の声が響いた。
するとすべり台の下からひょこっと出てきたそいつ。
『あ、かめ─。』
そう言ってぶんぶん手を振っている。
……は?
なにコイツ元気じゃん。
そう思ったらだんだん怒りが沸いてきた。
一発ぶん殴ってやろうか。
そう思いながら赤西に近付く。
「…おい。お前どれだけ心配したと思っ…」
そこで俺の言葉は遮られた。
だって今、俺は赤西の腕の中にいるから。
『……ごめん。』
小さな声で赤西が呟いた。
背中が小刻みに震えている。
…泣いてる?
それが分かると同時になぜだか胸が苦しくなった。
あぁ。
どうして好きな人が泣くと自分も胸が苦しくなるんだろう。
次第につられて泣きそうになるのを必死にこらえた。
自分まで泣いてちゃ来た意味ねぇじゃんか。
.
最初のコメントを投稿しよう!