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しばらくして二人の顔がゆっくりと離れる。
『……ごめん。』
そう呟いた赤西。
…ごめんって何?
キスしてごめんってこと?
それなら謝らないで欲しい。
なかったことになんてしたくないのに。
でもそんな事すら言えない自分。
「なんか…あったの?」
やっと絞り出せた言葉はこれだけ。
もっと他に言うことあるだろうけど、こんな時ですらやっぱり赤西の心配をしてしまう。
『…なんか、最近、上手く行かなくて。』
ポツポツと話しだす赤西。
『…部活、レギュラー外れちゃってさ。なんか、何してもダメなんだ。』
「…そんな…」
あんなにいつも遅くまで練習頑張ってたのに。
『…やっぱり俺って何やっても中途半端なのかな。』
「…っそんなことない!仁は、仁はいっつも一生懸命頑張ってたじゃんか!」
『…ふふっ。かめは優しいね。』
そう力無く笑った仁を見て、俺が助けなきゃって思ったんだ。
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