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相変わらずはっきりしないというか何というか…。
まぁ亮に笑いかけたのだから
多少、焼餅でも焼いたのかもしれないけど…ね。
暫く向き直らない
声をかけてくれるのを待つんだ。
…
いつもの通り一声はかからない…。
僕はその態度があまりにも愛らしくて、
ついつい後ろに向き直る。
そこには彼が…日吉 若が何か言いたそうな気まずい表情をして立っていた。
「いつになったらちゃんと誘えるようになるのかな?」
少しだけ苛めるように彼に言った。
若は素直じゃないからいつも僕に良い様にされる
でも僕は
そんな可愛い若が大好きだ…。
「あの…上手く言おうと…」
言わせない
きっと僕は嬉しくてはしゃいでしまうから
誰が見てても構わない
僕は若の唇に唇を重ねた。
ほのかに甘い
僕の全てが蕩けていく…。
…
幸い誰にも見られていなかった様だ、
僕としてはどちらでも良いんだけどね…。
…
「!?っ…滝さん…何を!?」
口を離したらすぐに真っ赤になって慌てる
可愛い…。
「ちゃんと誘えなかった罰だよ……でも君には”ご褒美”になっちゃったかな?」
意地悪く言う
僕を誘えなかったんだ。
これくらいして当然だろう?
若はまだ真っ赤なままで動揺している。
「そんな…ずるい…ですよ…」
構わない
僕は背を向けると一人で歩き出した…。
「ちょ…滝さん!!!」
彼が小走りで追いかけてくる
僕はゆっくり右手を後ろに差し出した。
「繋いであげるよ…手。」
若がどんな表情になったのか見えない。
でもそれで良い
手はしっかりと握られた…
満たされていく
欠けていた僕のどこもかしこもが
この手に触れられると満たされていく…
亮…
僕は幸せだよ
君と一緒に行けなかった場所まで
僕等なら
僕等なら辿り着ける気がするよ…。
星が光るまであとどれくらいあるだろうか
繋がれた手を離したくない
…
それでもまた
別れ際中々手を離さない君を宥めて、
今日も家路に着くんだろう…。
願わくば…
このまま
どこまでも二人で…。
星落ちるまでずっと…
陽終わるまでずっと…
【END】
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