1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんね…お兄ちゃん…もう…限界なの…」
ずっと我慢していたんだろう
声が弱弱しく儚い
まるで魔法が切れたみたいにほたるは静かになっていく
「ずっと我慢してて…お兄ちゃん…死にたくないよ…」
息も絶え絶えに死を恐れる妹
俺はもう涙を止めることはできなかった
「死ぬな!ほたるっ!…死ぬな!生きて!いつも俺の傍に!」
「ごめんね…ごめんね…私のこと忘れていいからね…いい人を見つけて…そして…」
気付かないうちに神社は無数の蛍で埋め尽くされていた
3人で花火を見たあのときと同じだ…
その光でほたるの顔が鮮明に見える
「そして…なんだよ!」
「幸せになってね…お兄ちゃん…」
「バカ…お前以外を愛するなんて俺には…もう出来ない…」
「本当?…お…にいちゃん…嬉しいよ…わたし…幸せだよ…」
ほたるは笑った
でもその呼吸は乱れるばかりで元には戻らない
「死にたくないよ…お兄ちゃん…もっと…傍に居たかったよ…ごめんね…」
俺を抱きしめる力が強くなりそして直ぐに弱くなる
「おに…いちゃん…大好き…大好き…大好きだよ…ごめんね…。」
…
最初のコメントを投稿しよう!