ほたる

10/11
前へ
/11ページ
次へ
「ごめんね…お兄ちゃん…もう…限界なの…」 ずっと我慢していたんだろう 声が弱弱しく儚い まるで魔法が切れたみたいにほたるは静かになっていく 「ずっと我慢してて…お兄ちゃん…死にたくないよ…」 息も絶え絶えに死を恐れる妹 俺はもう涙を止めることはできなかった 「死ぬな!ほたるっ!…死ぬな!生きて!いつも俺の傍に!」 「ごめんね…ごめんね…私のこと忘れていいからね…いい人を見つけて…そして…」 気付かないうちに神社は無数の蛍で埋め尽くされていた 3人で花火を見たあのときと同じだ… その光でほたるの顔が鮮明に見える 「そして…なんだよ!」 「幸せになってね…お兄ちゃん…」 「バカ…お前以外を愛するなんて俺には…もう出来ない…」 「本当?…お…にいちゃん…嬉しいよ…わたし…幸せだよ…」 ほたるは笑った でもその呼吸は乱れるばかりで元には戻らない 「死にたくないよ…お兄ちゃん…もっと…傍に居たかったよ…ごめんね…」 俺を抱きしめる力が強くなりそして直ぐに弱くなる 「おに…いちゃん…大好き…大好き…大好きだよ…ごめんね…。」 …
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加