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本当はこうしているのも凄く辛いのかもしれない
でも絶対顔には出さないだろう…
「なんかごめんね…その…これ以上早く歩けないから…。」
初めて聞いた嘆き
どうしようもない
「おいおい…急にらしくねーな…どうしたんだ?」
あまりにほたるらしくない言葉に少し心配して立ち止まる。
「んーこのままじゃ…花火始まっちゃうんじゃないかって…」
「お前もしかして…」
「そうだよ…昔…お母さんとお兄ちゃんと見た場所でもう一回見たいの…」
あそこまでは結構遠い
確かにこのままじゃ間に合わないかもしれない
「おぶってく!乗れ!」
俺はさっさとほたるの前に身をかがめると乗る様に指示した
「ちょっと!?…お兄ちゃん…!?」
「いいから!走ればまだ間に合う!」
否が応でも乗ってもらう
俺だって同じ気持ちで居たから
「行くぞ!」
俺は全力で走り出した。
「ごめんね…わがまま言って…」
背中の上から声がする。
「今までわがまま言わなかったことのほうが少ないだろうが。」
走りながら返す
「う…まぁ…それはそうだけど…。」
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