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西暦2100年。
人類は、機械による個人飛行を実現していた。
《Space Sonic》と呼ばれる飛行機械によって、最高時速200km超による、短・中距離の飛行が可能となったのだ。
《Space Sonic》には、様々な形状があった。
ブーツ型のものや、バックパック型のもの、中には翼のような形をしたものまであった。
それらは若者の間でファッションの一部になるほど、バリエーションに富んでいた。
法整備や施設整備が迅速に行われ、『16才以上の専門教習をクリアした人』は誰でも飛行できるようになった。
爆発的に増える飛行人口。
ハンドボールやドッジボールに応用されることで、スポーツとしての一面も見せ、それに伴って《Space Sonic》の性能も凄まじい向上を見せた。
そして、スポーツの中で、最も単純な動きの『陸上競技』に応用された途端。
競技人口が、爆発的に増えた。
その種目は、短距離走。
1kmの距離を超高速で走り抜けるその競技は、一歩間違えば競技者の命はない。
しかし、その危険と隣り合わせの状況が、人間達を狂わせる。
レースを勝ち抜いた、その瞬間のカタルシス。
ある者は歓喜の叫びを上げ。
ある者は傍沱の涙を流した。
全ては、勝利のために。
たった一瞬の、歓喜のために。
「私も、参加するわ」
ある時。
とある少女が、現れた。
彼女は、有翼の少女。
凄まじい強さのあまり、人は彼女をこう呼んだ。
『天使』、と。
謠羽瑠音。
(うたはね・るおん)
18才の戦乙女だった。
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