第1章

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何て、綺麗なんだろう。 泣きそうな表情の先輩。彼女が背負う光の大翼。 天使が僕を救うために舞い降りたかのような、そんな光景だった。 あまりの美しさに言葉を失っていると、先輩は膝をついて僕の体を揺らした。 「ちょっと、礼!! 起きなさいよ!!」 「あぅあぅ、だっ、大丈夫ですよっ!」 肋骨が痛いので、必死に無事を訴えると、先輩ははっとした顔で僕の顔を見た。 一瞬、安堵したように表情を緩め、しかしすぐに何かを我慢するような表情になったあと、 「ばかっ! 大丈夫ならさっさと起きなさいよ!!」 「いてっ……」 僕の顔に平手打ちを食らわせた。 痛みで朦朧としてきた意識を、必死でつなぎ止める。 「すいません、でした……」 「さ、さっさと練習戻るわよ。動けるんでしょ」 「すいません、ちょっと……休ませて、ください……」 どうやら、僕は先輩の引退試合には、一緒に出場することが出来ないみたいだ。 遠くからバタバタと足音が聞こえる。きっと先生などが駆け付けているのだろう。 その足音に安心しながら、僕は意識を手放した。 最後に見たのは、先輩が僕に何かを叫んでいる、瞬間だった。
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