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☆
「眠れなかった…」
衝撃の告白から一夜。
僕は全く寝ていない。
1カ月以内に彼女なんで出来るはずがない。
しかも、あの人は今日からアタックしてくるらしい。
もう憂鬱でしかたない。
リビングに降りたところで誰も居ないのに気付く。
姉さんは仕事らしく、両親は海外で仕事だからいつもいない。
1人で準備をして、僕は家を出た。
「あ、灯くん。おはよう」
「おはよう琴音」
家の前に立っていたのは幼なじみの篠崎琴音だ。
一応、僕が昔から好きな子だ。
毎日少しずつ仲良くなってる…と思いたい。
1ヶ月で付き合えるまでになれるのだろうか。
「…灯くん、なんだか顔色が悪いよ?具合悪いの?」
「う…えっと、少し寝不足で…」
本当のことなんて言えないし、当たり障りのないことだけを伝えるた。
「そうなんだ…。大丈夫?無理しないで休んだ方が…」
「いや、大丈夫だよ。ありがとう琴音」
「お、お礼なんていいよ!ただのお節介だもん!…でも、辛くなったら無理しないで言ってね?」
とまぁ、琴音は面倒見がよく謙虚ないい子だ。
黒のロングヘアーもよく似合う。形容するなら大和撫子だ。
「……?私の顔になにかついてるかな?」
「え!?いや、な、なんでもないよ」
「……?……ふふふ、変な灯くん」
そんな風にいつもの会話をしていると、不意に前の方で光る金髪が見えた。
「あ、来た来た。朝が早いのね碑波は」
「れ、鎌奈川さん…」
「え…と?なにか用ですか?」
状況が飲み込めない琴音は鎌奈川さんに質問をする。
まずい。
事実を知られるのは嫌だ。
ちら、と鎌奈川さんを見ると目があった。
ウィンクをしてから鎌奈川さんは琴音の質問に答えた。
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