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「確か、篠崎さんだったわよね?碑波とは幼なじみだったかしら」
「あ……はい」
「私、生徒会長でしょ?図書委員長の碑波に用があるの。悪いんだけど借りちゃ駄目かしら?」
意外なことに鎌奈川さんはうまくかわしてくれた。
無理もない完璧な言い訳だ。
学年トップは伊達じゃない。
しかし────。
「あ、あとでじゃダメなんですか?」
何故か琴音が渋った。
鎌奈川さんも予想外だったらしい。
「そうね、なるべく急ぎがいいの」
「じゃあ、私もついて行きます」
淀みなく言い放つ。
なんでこんなに食い下がるんだろう。
「えっと?篠崎さんは環境委員だったわよね。図書委員の話しを聞いてもわからないだろうし遠慮してもらえないかしら?」
「ぅ…」
小さく琴音が呻いた。
少し間を置いてから返事をする。
「…わかりました。すいません、時間を取らせてしまって…」
「いいのよ…っていうか、急に来たのは私だし。ごめんなさいね?さ、行きましょう?」
言って、鎌奈川さんは僕の腕に自分の腕を絡めた。
「ち、ちょっと腕組まないでよ鎌奈川さん」
「くふっ、いいじゃない!」
僕の拒絶をものともせずに鎌奈川さんは歩き続ける。
そんな風にされると標準よりも大きめな胸が腕に当たるんですが…。
「…灯くんの…バカ…」
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