緊急帝王切開

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パタパタと二つの足跡が聞こえる。 カーテンが開き助産師さんと当直の医師が顔を出す。 当直の医師は担当医ではなく、ほとんど面識がない。 大丈夫なんか‥‥ と不安が胸に広がる。 NSTをチェックする当直医‥そして‥‥ 「阪野さん、お腹の張りが強いようだしウテメリン(張り止めの薬)飲んでたよね?それ飲んで様子見て見て」 不安的中!!ウテメリンを飲んでいない私に、ありえない発言をした、当直医。 「先生、私ウテメリン飲んでないんですけど‥‥」 「え?そうだっけ??」 そうだっけってなんやねん、カルテぐらい見とけや!! 「じゃぁ処方するし、それ飲んどいて」 と軽く言う当直医‥‥ ここまで、心拍が下がった事は今まで一度もなかった状態。 さらに担当医は、何かあったらすぐに緊急オペをすると事前に伝えられていた。 今まさに、緊急事態なんだって素人の私でもわかる状態なのに、この当直医は軽く言ってのける。 赤ちゃん死んでしまう‥‥ 涙目になりながら、すがる気持ちで助産師を見つめる。 助産師さんも、『この人何言ってるの!?』と言う顔で当直医を見つめている。
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