通りすがりの用心棒

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洞窟の中には数人のオーガと3メートル以上はある巨人族が1人、さらに甲冑に身を包んだ怪しい男がいた。 甲冑の奥で黄色い不気味な目が光る。 洞窟の中には檻もあり、中には街からさらわれたと思われる娘が数人いた。 服はボロボロで精神的にまいっているのか衰弱している。 2人は周囲を警戒しながらも檻の位置を確認した。 「ボス、街から来た話をしたいという奴を連れてきました」 洞窟を削って造った別の部屋からフード付きのマントを羽織った男が現れた。 フードは顔の大部分を覆い隠している。 「話?どういった話かな?」 マントの男は低く頭の奥に響く不気味な声で話した。 「愛流、あいつらディアボロスだよ」 ディアボロスは上級の悪魔で、身体能力、魔力共に長ける。 「フードの奴と甲冑の奴ね」 愛流は小声でひかると話した後マントのディアボロスに言った。 「あたし達話し合いに来たの。あの娘たちを解放して、もう街を襲わないでくれないかな?」 「面白い、嫌だと言ったらどうなる?」 ハハハと笑いながら答えるマントのディアボロス。 「後悔する」 『ガキィン!!』 甲高い金属音が洞窟の中にこだまする。 愛流が言い終わる前に甲冑のディアボロスが愛流を電光石火の勢いで斬りつけたのだ。 それを大剣で受け止める愛流。 「ほう、俺の一撃を剣を鞘に入れた状態から受け止めるとはな」 「不意打ちなんて面白いことやってくれるわね」 普段の可愛い顔からは想像できない凶悪な笑みを浮かべてギリギリと鍔迫り合いをする愛流。 目が笑っていない。
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