通りすがりの用心棒

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ひび割れ荒れたコンクリートの道を2人の若者が歩いて行く。 周りには手入れをしていない森がうっそうと茂り、かつてよく使われていたコンクリートの道路だけが道として伸びている。 「う~んおかしいな、そろそろ見えてくるはずなんだけど」 童顔で中性的な顔立ちをした若者が地図を見ながら不安そうな声をあげる。 名前は曽根川 ひかる(そねがわ ひかる)、表情からは疲れの色が見えた。 「方向は合ってるんでしょ?まぁどうせ今日中に着けなくても元々野宿はなれたもんだし、いいんじゃない?」 もう1人の少女が平気そうな顔をして、お気に入りの触覚のように飛び出た自分の髪をなでながら言った。 彼女の名は天見 愛流(あまみ あいる)胸に大きな十字のラインが入ったワンピースというちょっとかわった服装をしている。 肩からは天使の羽のような飾りがあり、背中には大きな剣を背負っていた。 剣は腰にさすのが合理的なのだが愛流はかっこいいからと背中に背負うのにこだわっている。 「愛流は体力があっていいなぁ、ボクは今夜は屋根の下で休みたいよ」 「疲れたなら休憩とろうか?まだ昼だし」 「いやいいよ、もう少しだろうから頑張る」 ひかるはあまり余裕はないながらも笑顔をつくる。
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