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唯はずっとずっと春くんのことが好きだった。でも春くんは気付いてくれなかったね。あの卒業式の日、本当は、好きですって言いたかったの。でも春くんのパパとママが来ちゃって、結局言えなかった。
聞かれたら恥ずかしいし、春くんも早く帰りたそうだったからあの時は言えなかったの。
でもあれから、二人とも忙しくて会えなかったね。おんなじ学校に行けたら、きっと伝える機会はもっとあったのに。やっぱり一緒の学校に行きたかったなあっていつも思うよ。
猫ちゃんを一緒に飼うことになったとき、唯はとっても嬉しかった。だって春くんに会えるんだもん。たくさんお話しできるんだもん。
猫ちゃんの飼い主さんが見つかったって春くんが話したとき、嬉しかったけど、これで春くんとお別れになっちゃうんじゃないかなってすごく不安になった。
でも春くんはいっつもあのベンチで寝てるから、また会えると思った。いつでも、そこに行けばお話できると思った。
世界で一番春くんのことが好きなのは、唯なんだよ。だから春くん、唯以外の女の人と付き合ったりしちゃダメだからね。もう他の人のところに行かないって、約束。
ねえ、春くん。春くんがこうして唯の側に居てくれるのに、唯なんだか涙が出てきちゃった。どうしてかな? 春くん、お願い。唯の名前を呼んで。唯に笑いかけて。いつもみたいに――。
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