エピローグ

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そして、その子が高校生になった。 母親は夜遅くまで働いている。長い時間、彼女と二人きり。 しかし彼女とその母親は、そんな事を全く気にしない。 彼女は勝手に部屋に忍び込み、帰ってきた俺に料理を振る舞う。 その料理は、やはりお世辞無しに美味い。彼女にそう伝えると、手を合わせてとても嬉しそうな顔で笑う。 こう言うと恥ずかしいが、まるで夫婦のようだった。 約束を果たすため、という言葉が頭の記憶に蘇ったが…。わざわざ毎日ご飯を作ってくれるそんな彼女に、しばしば疑問を抱いていたある日。 突然、小さな声で、想いを告げられた。 単に、料理が美味しいか不味いかを確かめる練習台かと思うほどだったが、そうではなかった。 彼女は、俺を想っていた。 。
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