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「あ~さ~だ~ぞ~! ひかる~! あ~さ~だ~ぞ~!」
ここはマルトス学園。全寮制の学校で、周りの目を気にせず、寮の一室を何度も叩く少女がいた。
全身ピンクのハートが散りばめられたパジャマ姿。クルリと開いた大きな翡翠の瞳。触角ような髪の毛が特徴的な肩まである冴えた茶色の髪。耳の上の髪を天使の羽の形をした髪留めで留めている。すらりとした体躯は少し小さい。
少女が叩く部屋の寝室にはベッドに寝ている一人の人がいる。寝癖の付いた茶髪のショートヘアに、少し垂れた茶色の瞳。顔は童顔で男子に見ようと思えば男子に見え、女子に見ようと思えば女子に見れる。この人が少女の言うひかるらしい。
ひかるは暗がりの部屋でベッドから時計に手を伸ばす。時計は六時を示している。
ひかるは時計を元に戻して、もう一度布団を頭まで被る。
「ほ~ら~、ひかる~、ちゃんと起きなきゃ駄目だよ~!」
しかし、あいるがひかるの睡眠を邪魔する。
ひかるはあいるの元気過ぎるのを呆れながら、居留守を使う。
「いい加減に起きてよ~!」
ひかるは、まずい! あいるの声がどんどん涙声になってきてる! と思った。
ひかるはベッドから飛び起きる。寝室を出て、入り口のドアを開ける前にドアが逆に音速の勢いでひかるの眼前に迫っていた。
「みぎゃああ!」
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