例え世界が正しいとしても

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      「とんでもない事したね本当に」 「些細な事じゃないですか。牛丼に合うでしょう?紅しょうが」 「合うか合わないか以前の問題だよね!量がおかしかったよね吉野君!」 山盛りの紅しょうがは案外苦しいもののようだ。先輩自身の食事の信条、「残さない」を利用した嫌がらせである。 店を出てすぐに買ったお茶で口の中を洗い流す相模先輩。一口含み、非常に行儀が悪いがぐちゅぐちゅとすすぎ、飲み込む。辟易とした顔で、 「俺はこれから一仕事あるって言うのに・・・・・・」 「はい?」 思わず聞き返した。 先輩の口から、聞く筈の無い言葉が聞こえた。『一仕事』?相模先輩が? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「・・・何か失礼な事考えてね?」 「いえ別に何も」 「大体解るよ。俺らしくないとか言うんでしょ?」 よくお分かりで。 「さっき話したアレだよ。削除されたデータの復元に手が足りないから徴兵されたの」 「ああ、成る程」 相模先輩も、これから『関係者』になるのか。 「僕も付いていきますよ」 「ん、何?もしかして手伝ってくれるの?」 「いえ。呼ばれたのは相模先輩ですから僕は遠慮します。事情を聞きたいだけですので」 「・・・・・・流石のドライ」 相模先輩は溜め息を吐く。僕に期待するだけ無駄と言うのは知っている筈だが。 コンビニの角を曲がると、見慣れたビルが姿を現した。
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