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チュンチュン♪
小鳥が囀(さえず)り、朝の訪れを歌う。
その歌声で女が目を覚ました。
「うーん…おはよう、ロゼ。
今日の歌声も素晴らしいわ♪」
鳥籠に入った小鳥に微笑むと女は、部屋の隅で待って居た使用人に右手を差し出し、ベッドから出た。
「玲菜お嬢様、今朝の朝食はコーヒーと紅茶、どちらに致しますか?」
「うーん…そうね、今日の気分は甘めの紅茶かしら。」
「分かりました。直ぐにお持ちしますので、暫くお待ち下さい。」
「えぇ。」
上之宮玲菜(うえのみや・れいな)は使用人に頷くと自分の指定席に座り、携帯を開いた。
「んー…やっぱり書き込み無いわね…。」
一ヵ月程前から上之宮玲菜は【空想世界】と言うホームページを作り、日々の生活とは真逆な事や、こんな事が起これば面白いだろうと言う事を書いている。
しかし、ホームページを立ち上げてから今迄一度もコメントやメールは来ていない。
「お嬢様、お持ちしました。」
「ありがとう…。」
紅茶の入ったカップを右手に持ったまま、上之宮玲菜は口を着けない。
「あの…どうかしましたか?」
「ん?…ううん、特にどうかしたって訳じゃないのよ。
ただね、ホームページを作って一ヵ月もたっているのに誰からも書き込みが無くて…。」
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