赤い目

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黴と排泄物の匂いが充満し、水分を含んで重く湿った綿布団の下で私は、使い古されて異臭を放つボロ雑巾の様に横たわっている。 部屋は薄暗く、今が昼なのか夜なのかも定かではない。けれどそんな事はもう私には何の意味も持たないのだろう。 重苦しい呼吸の中、視線を左に少しずらし、同時に頭をほんの少し左に傾けると呼吸が少し楽になった様に感じ、ひとつ、静かに息を吐く。 と、その瞬間、脳天までつんざく様な痛みが全身に走り、ゴボゴボとした咳がほとばしり出た。
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