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「お父様、郵便物が届いてい
るわよ。」
ドアが開いて、全身を白でコーディネートした由香里が入ってきた。
「おー、由香里。ありがとう。今日はもう授業はないのか?教職の授業は大変か?」
社長は目を細める。
「今日はもう終わりよ。桃子さん、もうお昼でしょ?ミスコンの審査基準、くわしく教えてほしいんです~。」
由香里が舌ったらずな甘えた声を出す。いかにも可愛い女子大生だ。
「頼む、遠山さん、由香里の相手をしてやってくれ。」
桃子は、苦笑しながらも承諾した。
仕事帰り、桃子と香織はスターバックスで時間をつぶす。
「由香里ちゃん、桃子を頼りにしているのね。同じ大学出身だものね。」
ふふっと香織が笑う。
「まあね。…ねえ、これ甘くなくない?」
桃子は砂糖を持ってくると、ドバッと2袋いれた。
「ちょっと…いれすぎじゃない?砂糖入ってるわよ、絶対。社長みたいに糖尿病になるわよ?」
香織は顔をしかめる。
「やだ。大丈夫よ。たまになら。社長もいいかげんにしてほしいわよね、病気の愚痴。
こっちまでうつうつとしてきちゃうわよ。」
桃子はぷくっと頬をふくらませる。高校生からの癖がまだ抜けない。
「聞いてよ。この前、合コンで知り合った人、顔とか気にしないって言ってたのに、連絡途絶えてさー。やっぱり男は顔かしら?」
「そりゃ、はじめは見た目でしょ。」
桃子がバッサリと切る。
「でも、ブスは三日で慣れるけど、美人は三日で飽きるって言うしね。」
香織が言い放つ。
「それ、よく言うわよね。」
香織と話すと、どうしても容姿の話題になってしまう。
桃子は内心うんざりしていたが、話につきあった。
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