篤志

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「あー。美女は美男が好きで、美男は美女が好きで、じゃあブスはどうすればいいのよ。」 香織とこのたぐいの話になると、どうしても桃子がフォローをいれざるを得なかった。 「わかんないわよ。実態は。見てないだけかもよ?」 香織は、長い溜め息をつくと、テーブルにうつぶせる。 「元気出してよ。自分にないものを求める場合だってあるんだからさ!」 「そうね…。」 そう言うと、小さく笑った。 次の朝、社長は二人を呼んだ。 「二人に話しがある。」 「何ですか?改まって。」 社長は静かな口調で話し始めた。 「実はな、病気が仕事にさしさわる様になっておる。そこでだ。若いのを雇ったのだ。佐藤君、入りたまえ。」 「失礼致します。」 ドアが開くと、30才ぐらいの今風な若者が立っていた。 しかし、その目はキラリと光り、なんともりりしい。 「佐藤篤志と申します。どうぞよろしくお願い致します。」 白い歯を見せて、にっこり笑う篤志に、二人は色めきだった。
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