第三章

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「座りな」 そこにあるのはソファー。座って良いものなのか。座ったら何かされるのではないだろうか。そう考えると、手が震えて、視界が揺らぐ。 怖い、怖い、怖い怖い… 「怖いのか?」 座らないのを不思議に思う相手にどんどん距離を狭まられ、恐怖に心臓の音が高鳴る。涙が滲み出てきた。 「参ったな、そんなに悪人に見えるのか、俺…」 苦笑しながら頭を掻く仕草をされても構わず恐怖が脳を包み込む。体がガクガク震えた。 「大丈夫だ」 ゆっくり、自分に向かって手を伸ばされる。頭上に向かっているようだ。降り下ろされる瞬間に殴られた時の痛みを想像し、反射的に目を瞑った。 だが、そのような痛みは感じなかった。優しく頭を撫でられ、その手は頬まで滑らかに滑り、止まる。 深い緑色の瞳を不安気に見つめた。 「安心しろ。大丈夫だ。」 ゆっくりと体が近付いてきて、包み込まれた。 「……ぁ…」 小さく声が漏れる。優しい馨りに力が抜ける。大きな体は暖かくて、心地良い。 涙が零れた。  
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