第三章

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青ざめた。 それは一番見たくないもの。 一番嫌い。一番痛くて……一番怖い。 力が抜けて地面に腰を落とした。近付いてくる。また涙が溢れた。 「……ッ…ゃ…」 言葉にならない嗚咽。体が震えて上手く動けないながらも必死で後退りをする。 「ど、どうしたんだよ?」 こうなっている原因がわからないとでも言うように、どんどん距離が少なくなって行く……壁にぶつかった。 「………っ…ィ…ゃ…」 自分の肩を抱く。それでも震えが止まらない。目は一点を捕らえて離さない。 「ん?…ぁ、…もしかしてこれか?」 その視線に気付いたのか彼がそれを取り出して手に掴む。  
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