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「それにしても」
彼が近付いてきた。昨日の様な恐怖はない。
「お前綺麗だよな」
そう言うとおもむろに髪を梳いてきた。その指が心地いい。
だが、綺麗と言うのは間違っていると思う。こんなに身体中痣だらけで、醜い人間なのに。
「俺はある会社の社長だ。親父が死んだから、まだ若いんだけど一応その地位を任せられてる。」
髪を梳き続けながら、淡々と話す彼は、目線を窓の外へ移し、手を離した。
「だけど、お前がいた店あるだろ?俺の父の父の代、つまり祖父だな。その時に、あそこに借金しちゃってさ。」
全く困るよなぁと苦笑しながら窓を開けた。
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