第四章

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「やっぱりつれてきては駄目だったか?」 不安気に見つめる彼。その視線に耐えられず俯いてしまう。少しの沈黙。 そこに小鳥が一羽迷い込んできて、彼の頭上で羽を休めた。二人で顔を見合わせた。 「………ふふっ」 口を押さえて、つい笑いが零れてしまった。彼のその、キョトンとした表情が、どうにもおかしくて。 「わ、笑うなよっ」 頬を膨らまして、微笑する彼も段々と声をあげて笑った。 本当はありがとうと伝えたかったけど、多分もう伝わっているのかな、と思うのは、彼がいつもは以上に嬉しそうに笑ったからだ。 「ところでさ、」 鳥が飛び立ったと同時に彼 が、おもむろに問いかけた。  
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