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「…っと、大丈夫か、立て…たな。急だったからよろけてしまったんだな、ごめん。」
そっと離れる体と体。
蒼は最後に触れていた手の指先まで、柊弥の温もりを感じた。
柊弥はゆっくりと乱れた蒼の髪を梳き、愛おしそうに頬に触れた。
「そうか、まずはお前の意見を聞こうか。さあ、言ってご覧。何処へ行く?」
自分に向けられた優しい笑顔に、蒼は黙って俯く。
行きたい所を問われても、何があるのか皆目見当つかない。
そんな蒼の気持ちを察したのか、柊弥はおもむろにしゃべりだす。
「そうだな、まずは俺の寝室だろ、無駄に凝ってる庭も見物だぞ、ははは。それから、ここ図書館は化け物級だ。」
「…と、しょ…かん…?」
聞きなれない言葉に、つい口ずさむ。
「なんだ、図書館が良いのか?」
その小さな声をいとも簡単にとらえた柊弥は、とたんに聞き返す。
コクリと頷く小さい頭。
「きっと素晴らしい本に出逢えるさ。…蒼、一緒に行こうか。」
言葉も無く手を曳かれ、蒼と柊弥は部屋を後にした。
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