第六章

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  そうしている間に、柊弥の足が止まった。 「さあ、着いた。中へお入り。」 柊弥が開いてくれたドアを慎重に潜れば、たくさんの本達と、それに混じって古本の特有の馨りが蒼を迎えた。 「全部、好きなだけ読めばいい。本が好きなやつは、俺も本達も大歓迎だ。」 そっと背中を押された蒼は、目の前にあった本を取り出し、表紙をめくった。 「……」 中に何が記されているのか、検討しようとしたが、蒼はその術を持ってはいなかった。 「……」 「蒼、本、逆。」 「……」 「…」 「……」 「…蒼?」 なんの反応も示さない蒼を不思議に思い、蒼を覗き込み、そしてゆっくり問いかけた。   
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