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目を開けると、私の手をギュッと握ったお兄ちゃんの顔があった。
もう身体は綺麗で、お風呂に入った後だと分かる。
「お兄ちゃん…」
そっと聞こえるか聞こえないかくらいの声で言ったのに、お兄ちゃんは目を開いた。
いつもなら、眠りの深いお兄ちゃんは起きるはずなんてないのに、そう、起きたからこそ私は不安になった。
いつもと違う、それがとても不安だった。
「有紗…、有紗ぁー…」
お兄ちゃんは、私を抱き締めて泣き出した。
何?さっきまで、喧嘩してたじゃん。
「有紗…今日からは、パパとママいないからな…
俺が、俺が有紗守るからなッ…」
あぁ、そっか―――
「うん、あり、有紗も…有紗も、夾兄ちゃん守るから――」
明日からは、フタリだから。
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