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「おばちゃん、おばちゃん!!」
涙なんて、出ない。
怖くて怖くて、ママもパパも違う人みたいで
おばちゃん家のチャイムを押す余裕もない。
ひたすら、力一杯ドアを叩く。
「おばちゃぁんッ……!!」
「有紗ちゃん?どうしたの?」
後ろから、買い物袋を2つ手に下げたおばちゃんが歩いてきた。
不思議そうに、こっちに近寄る。
「有紗のッ…有紗のパパッ…!!
おばちゃん、救急車ぁー!!」
私の焦りように緊急事態だと察したのか、おばちゃんは直ぐに救急車を呼んでくれた。
そして『有紗ちゃんはここにいなさい』と、おばちゃん家に取り残された。
身体の震えが止まらない。
テレビに映っているいつもは大好きなアニメも、全く頭に入ってこなかった。
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