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ほんの少ししてから、
涙ボロッボロ出して血だらけなお兄ちゃんが、おじさんに抱えられておばちゃん家に連れてこられた。
お兄ちゃんは毛布にくるまれてて、過呼吸を起こしてるようだった。
「お兄ちゃん…」
「大丈夫だよ、有紗ちゃん。夾君は、少し眠いだけだからね」
――そんなの、おじさんの気休めだ。
それくらい私にも分かってた。
でも、おじさんが必死に私を傷つけまいとしてくれてたから、何にも聞けなかった。
でも、おじさんの汗ばんだ顔が、大変な事になっているんだって物語っているように見えた。
急に涙が溢れてくる。
「ママー…、パパー!!」
おじさんは切なそうに、悲しそうに私を見ている。
ワーワーと泣く私を、
急に和樹兄ちゃん――和にぃがヒョイッと持ち上げた。
ちょうど10歳離れた、
この美津子おばちゃんと賢二おじさんの長男だ。
「有紗、有紗は怪我してないかい?大丈夫かい?」
優しく抱き締められる。
「大丈夫、大丈夫ッでもッ、有紗の、ママとパパ、痛い痛いのー…!!」
ヒステリックのように泣き叫ぶ私。
和にぃも悔しそうに目に涙を溜めていた。
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