琥珀色の瞳

2/2
前へ
/74ページ
次へ
こんなつもりじやなかったんだ………… 限界にまで引っ張られた腕が肩からちぎれて地面に落ちる。 腕を引っ張っていた力が消えて、俺は転がるようにそこから逃げ出した。 こんなつもりじゃなかったのに………。 肩の傷口から流れる血が、俺の体を赤く染めた。 荒い呼吸を繰り返しながら、俺はひたすら走った。 ただ、出口を目指して。 だめだ。 これじゃ追いつかれる。 逃げなきゃ。 にげ………。 後ろを確認しようと振り向いた俺の目が驚きに見開かれる。 くるな。 来るな!来るなぁあああ!! ……こっちに来るんじゃない!来ないでくれ ……よ、よせ!やめろ! …くそっ。 こんな………、こんなつもりじゃなかったのに! 助けてくれ!頼むから!よしてくれ!ま………。 『それ』は残酷そうに笑った。 うっ……うわあああああああああああ!! こんな……、こんなはずじゃなかったのに!俺は、俺はただ………。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加