実技とプールと魔術

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「次、曽根川ひかる」   そう言ってニードルが叫びを上げると、ひかるが返事をして前へと出る。   「よし。風船を飛ばせ」   ニードルの手伝いをしている生徒がその言葉を聞くと、生徒は持っていた青色の風船の紐を離した。 風船は風に運ばれる様に空へと上って行く。   「天空に散らばる数多の精霊達よ、我が声を聞き賜え。我が名は曽根川ひかる。契約の名の下に今、偉大なる火精霊の力を借りん!」   その言葉と同時に、ひかるは瞑想するように閉じていた瞳を大きく見開いた。そして右腕を真っ直ぐに伸ばし、空を飛ぶ風船に右手を重ね合わせる。 右腕がぶれない様に、ひかるは左手で右肘を掴み、しっかりと固定した。   「フレイムボール!」   魔術の詠唱が終わると同時に、右の掌を覆う五角形の赤い点が発生する。 その点から掌の中心に目掛けて、放物線を描きながら螺旋状に炎の線が集まって行く。 そして、掌大の火の玉が作り出されたのである。   生み出された火の玉は、ひかるの「フレイムボール」と言う言葉で風船を目掛けて飛翔した。
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