実技とプールと魔術

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愛流の根拠も無い自信に満ちたその言葉を聞き、ニードルと玲菜は頭を抱えて大きな溜め息を付いた。   今ある風船の数は全部で9個。魔術を学び始めたばかりで、魔術の制御もまともに出来ない1年生が、その数を全て割るのには常識的に考えて不可能と言えた。   「ちょっと天見さん、出来もしない事を堂々と言わないで下さる」   「それはお嬢様の場合でしょ。私は出来るもん」   そう言い、愛流は自分の足元に魔法陣の様な物を描き出した。 直径2メートルの円で、線の内側に指で魔術語を書いて行く。その後、内側にもう1つの円を描いた。   「ちょっと天見さん、それ簡易のコキュートスの息吹じゃなくて。そんなもの何に使うつもりですの?」   「秘密」   「秘密って……。大体、コキュートスの息吹を使う魔術なんて、1年生では使えないはずじゃ」   「今の愛流には何を言っても無駄ですよ、上之宮さん。取り敢えず、見ていれば解ります」   そう言って、綜二は2人の間に割って入る。 綜二のその言葉はまるで、この後何が起こるのかを知っているかのような口ぶりだった。   愛流はゆっくりと目を閉じ、深呼吸をして精神を集中させる。
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