実技とプールと魔術

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「キクさん、風船飛ばして」   精神を集中させながら、愛流はそう言う。 キクと呼ばれた女性生徒は、手に持っていた9個の風船を全て空へと上げる。 すると、愛流が先程描いた魔法陣から光が立ち上り、愛流が詠唱を始め出した。   「主(しゅ)は守(しゅ)と交わり、手(しゅ)は狩(しゅ)となりて切り裂く。汝等の風は我が爪となりて、彼敵(かのてき)を切り刻むだろう」   「ちょっと湯野さん、この詠唱って、まさか」   「全員伏せろー!」   玲菜の言葉を掻き消すニードルのその叫び声を聞いた生徒達は、慌てて態勢を低くした。   「我が名は天見愛流。契約の名の下に今、偉大なる風精霊の力を借りん!」   そう言い、愛流は落としていた瞼をゆっくりと開ける。 愛流の指一本一本に風が纏わり付いて行く。   「切り裂け、エリアルネイル!!」   風が纏わり付く左腕と右腕を、愛流は交差する様に振るう。すると、空へと上がる風船の右側から、まるで長い爪で切り裂く様に5つの風の刃が、4つの風船を同時に裂いた。 それが終わると、風船の左側からも同じ様に5つの風の刃が、5つの風船を裂いた。
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