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「……すいませんでした、ニードル先生」
愛流はそう言って深々と頭を下げる。だが、そこに謝罪の意思が無い様にニードルは思えたが、天を突く様に振り上げていた拳を、自制心で何とか押さえ込んだ。
「まぁ、良いだろう。実技をやっていない生徒はいるか?」
そう言いながらニードルは生徒達を見回す。
すると、1人だけ手を上げている生徒がニードルの目に止まる。
「ニードル先生、私まだ実技をやっていませんわ」
「上之宮で最後の様だな。キク、風船の準備をしろ」
ニードルの言葉を聞き、キクが風船を作っている時である。前に出た玲菜がキクに声を掛けた。
「キクさん、私も風船を9個飛ばして頂けます?」
「上之宮、どう言うつもりだ」
「安心して下さい、ニードル先生。私は天見さんの様に無茶をするつもりはありませんわ」
玲菜のその言葉が終わると同時に、キクが9個の風船を空へと飛ばす。
「天空に散らばる数多の精霊達よ、我が声を聞き賜え。我が名は上之宮玲菜。契約の名の下に今、偉大なる火精霊の力を借りん!」
詠唱の言葉を終えると、玲菜は手の平を天高く翳す。
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