実技とプールと魔術

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「うっわぁ。何だこの野次馬は」   地面から見上げる校舎のベランダは、蟻の大群の様に制服で埋め尽くされていた。 皆、加圧式魔術刀を一目見ようとベランダに駆り出して来たのであろう。   「注目の的ですわね、木更さん」   綜二の言葉に続く様に玲菜も声を上げる。   「……」   葵は無言で刀を構えると、左手の親指で刀の鍔を軽く押し出す。 すると、鞘から銀色に光る刀身が顔を覗かせた。   葵はキクに向かって走り出す。ある程度走った所で、葵は声を上げた。   「風船を上げてくれ」   その言葉を聞いたキクは、風船を上げた後邪魔にならない様に、その場から素早く離れた。   「はあぁぁあっ」   葵は叫びと共に勢い良く刀を振った。 その刹那、風船は破裂。それを見ていたキクは、再び風船を飛ばした。   (……やはり少し重いな)   そう心の中で呟いた葵は、重みのある刀を素早く鞘へと運ぶ。   上って行く風船を目掛け再び走り出すと、葵は跳び上がり、刀のトリガーに指を掛けた。 いよいよ加圧式魔術刀の本来の力、圧力を加えた斬撃のお披露目である。
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