3人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
愛流は不思議な服装を好み、現在着ている雪だるまの着ぐるみも、愛流の不思議な服装のレパートリーの一つである。
「どうだい、涼しくなっ」
「ならねぇよ」
男性は愛流の言葉を遮り、再び学園への道を歩き出した。
「…………」
時間が止まった様に、愛流に数秒の沈黙が流れると、遠ざかる男性を見て慌てて声を張り上げる。
「まてコラー!」
愛流はダッシュで男性の後を追う。
「綜二君、ちょっと酷く無いかい?」
「そんな事より、自分の心配したらどうだ? その格好、風紀委員の葵に見付かったらシバかれるぞ」
「それなら問題無い。私のセンサーが進路クリアと告げている」
愛流は自慢げにそう言い、鼻を鳴らす。
そんな愛流を見て、綜二は我感せずと言わんばかりに溜め息を付いた。
湯野綜二(ゆのそうじ)、愛流とは古い付き合いと言うか幼なじみである。
綜二の成績は至って平凡で、抜き出た物が無い。
また、綜二はどちらかと言うと魔術よりも武術を好む。
「前から気になってたけど、その愛流センサーって何を探知するんだ?」
「馬鹿者! そんな事もわからないのか? 修行が足りん!」
最初のコメントを投稿しよう!